搾乳器の必要性〜どんな搾乳器を買えば良い?搾乳器の使い方は?〜


搾乳器(さくにゅうき)とは、母乳を出すのをアシストする器械のことです。

〜搾乳器が必要な人〜


・赤ちゃんが直接母乳を吸ってくれない人
・赤ちゃんが吸い取れなくて残っている人
・仕事復帰する人
・赤ちゃんだけ入院中で、搾乳を届けている人

これらの状況で「搾乳」が必要となった際に、あると便利な補助器が搾乳器です(搾乳器がなくても搾乳は可能です)。

店頭やネット上では様々な企業の搾乳器が氾濫しており、値段は数千円と安価なタイプの物から数十万円もする高価な物までバラエティに富んでいます。
手動なのか、電動なのか、シングルなのか、ダブルなのか・・一体何がご自分にとって良いのか悩まれるお母さんたちも多いのではないでしょうか。

またいつまで必要なのか、どのように使うのかといった細かいところも気になるのではないでしょうか。

そこで本日は、搾乳器を購入・使用する際のポイントを助産師の立場でお伝えします。




①搾乳器のメリットとデメリット


【搾乳器のメリット】


・腕や手指の負担が少ない
・搾乳時間の短縮(個人差あり)
・搾乳が苦手な人にとっての代用品
・乳頭刺激となり母乳分泌促進につながる
・手絞りとは違った刺激が乳頭に与えられる

【搾乳器のデメリット】


・合わないものを使用し続けることで、乳首がむくんだり疼痛が生じたりする。
・使用方法を間違えたまま使用すると効果がない
・搾乳器だけではとりきれない部分もある
・毎回の消毒が必要
・搾乳器より手絞りのが取れる人もいる
・外出時の持ち運びが負担


②搾乳器を購入する際の選び方


1回の搾乳時間は両胸で約10〜20分程。これを3時間毎にしている人の場合は、1日の大半を搾乳時間に費やしている計算になります。
よって、『使いやすい』『乳房や乳頭のサイズに合っている』『経済的に負担にならない』搾乳器を購入することをおすすめします。

【手動搾乳器か電動搾乳器】


一般的には安価で手頃な手動搾乳器を購入される人の割合が多いです。
手動搾乳器でも問題なく搾乳できるのですが、搾乳頻度が多くて腕や手指の負担を減らしたい方には電動搾乳器がおすすめです。
電動搾乳器も様々なタイプのものがありますが、使用期間が短い人は購入ではなくレンタルが良いでしょう。一方で長期的に搾乳器を使用していく予定であれば、持ち運びに便利なタイプの搾乳器を購入したほうがお得です。

【いつまで搾乳器を使うのか】


個人差が大きいので、必要時は母乳相談室や母乳外来でアドバイスをもらってください。
産後1〜2ヶ月しか使わなかった人がいる一方で、職場復帰してからも使い続けている人もいます。
また不必要な搾乳は、逆に乳房のトラブルになりかねないので注意が必要です。



③搾乳器を使う際のポイントと注意点


近年は搾乳器の性能が向上し、まるで赤ちゃんが吸っているかのような刺激で搾乳できる搾乳器が増えてきました。
しかし、搾乳器はあくまでも補助的な器械です。
搾乳器だけに頼って、赤ちゃんから直接吸ってもらう時間が減少したり、手で搾乳を全くしなくなったりすると、乳房・乳頭のトラブルにつながる恐れがあります。

そこで搾乳器を使用する際には必ず、使用前使用後に乳房・乳頭の状態を確認して下さい。

まず搾乳器を使用する前は、乳房を全体的に動かすようにマッサージして循環を良くします(基底部マッサージ)。
そして乳輪部を指でマッサージしてやわらかくほぐしてください。
乳輪がほぐれて乳汁分泌が確認できたら、そこで初めて搾乳器を使用するようにして下さい。

更に搾乳器による搾乳が終わった後も、しこりや詰まり、白斑などの気になる症状があれば、手で軽く仕上げの排乳をして下さい。

この前後のマッサージが乳腺炎の予防にもつながります。

特に乳房の緊満が強くて乳輪部がごりごりと硬くなっている時は、手でマッサージと搾乳をして下さい。
この時期に搾乳器だけで解決しようとすると、乳輪部や乳房の状態が悪化する可能性がある為、注意が必要です。

また搾乳器で毎回過剰に多量の排乳をし過ぎるのも、分泌過多となりトラブルにつながる危険性があります。
適量(新生児の1回哺乳量が目安)』を『適切な頻度(直接授乳でどのくらい飲めているのか考慮)』で『正しく(搾乳器の取り扱い方法を守って)』搾乳することが大切です。

【搾乳器の消毒】


搾乳は直接赤ちゃんの口から体内に入るものです。
搾乳器や哺乳瓶は使用後すぐに洗浄し、必ず消毒をしておきましょう。
消毒方法としては、ほとんどの搾乳器が煮沸・消毒液・電子レンジ対応となっていますが、念のため取扱説明書を確認して下さい。



以上が搾乳器を使用する際のポイントとなります。
搾乳器を購入・使用する際の参考にして下さい。
乳房の状態は個人差が大きい為、一概に『これが正しい方法』という一般論はありません。
また日に日に乳房の状態は変化していくため、やり方や医療者の指導方法もその都度変わっていきます。
少しでも気になる症状がある場合は、自己判断で放置せず、悪化する前に早めの対応をすることが大切です。


当院でも母乳に関するご相談を受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。
東京都港区・渋谷区・(目黒区・品川区)近隣であれば、直接出張にて対応することも可能です。
詳しくはホームページをご覧ください。


城野

東京マタニティスクール