コウノドリ〜助産師になろうと思ったきっかけ〜


赤ん坊はこうのとりが運んでくる」という言い伝えは、日本に限らず全世界で古くから語り続けられています。




さて本日は、今話題のドラマ「コウノドリ」が最終回をむかえたようですね。


「コウノドリ」は産婦人科病棟でおこる様々な現実にフォーカスをあてた物語です。
ドラマ化が決まる前から原作は読んでおり、産科医や助産師の友人たちの間では話題になっていました。
休憩室においてあるコウノドリ(漫画)を読みながら「この漫画は完成度が高いから絶対にドラマ化するよね」と同僚たちと話していた矢先にドラマ化したので、公開時は同僚と喜んでいました。

しかし実は私・・
自宅にテレビを置いていないため、ドラマを見ることができません。

そこで産科勤務の友人に感想をきいたら、「毎回泣いている」という返事が返ってきました。
(同僚の感想はシンプルでしたが・・)倫理的にも取り扱うのが難しくて複雑な「命」をテーマにしている故に、様々な意見や感想が寄せられているのではないかと察します。

ドラマには助産師もでてくるためか、最近は友人から「コウノドリ」に関する話題をふられる機会が増えました。

中には「私も助産師になろうかな」と言い始めた友人もいた為、嬉しい限りです。


私も初めは助産師になるとは全く思っていませんでした。
教育関係の進路を目指していたため、自分は医療の世界には全く無関係の人間だと思っていました。
しかしターニングポイントで身内の死や母の助言が重なり、急遽看護の道を志すことになりました。
そして人が亡くなる時の医療、すなわちターミナルケアやホスピスに興味を抱き始め、緩和ケア認定看護師を取得しようと思い始めました。
いつも実習先では教員に無理を言って、最も終末期に近い患者さんを担当させていただきました。
そして沢山の患者さんの死に直面し、新人なりに終末期医療のケアの在り方について悶々と考え続けていました。
その時期です。たまたま産婦人科の実習があり、生まれて初めて赤ちゃんが生まれる瞬間に立ち会いました。

今でもその瞬間のことを鮮明に覚えています。

お母さんが自分の子を生んだ直後に口にした台詞が
ありがとうございます。助産師さんのおかげです。」でした。

その瞬間 全身に違和感が走り、つい「生んだのはお母さんですよ。」と口挟んでしまいました。

医療者が目立ちすぎていて、明らかに管理されている受け身のシステムに、日本の終末期医療の現状を重ね合わせてしまいました。

生と死が表裏一体であるように、周産期と終末期の医療も類似的であると感じました。

その日から助産師という職に興味を持ち始め、現在に至ります。

人が亡くなる時と生まれる時は閉鎖的であり、病院と無縁の人たちからするとほとんど触れる機会の少ない分野でもあります。
それゆえに誤解や無関心、医療者任せや訴訟といった様々な問題が生じています。

故に今シーズン公開された「コウノドリ」のように、個々のレベルで死生観を考えるきっかけとなる問題提起をしていくことが非常に重要だと思います。


一医療者として、今後も情報発信に関することを日々模索し続けていきたいです。


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