つわりの対応と解決策



つわりは全妊婦さんの約50〜60%に出現する吐き気・嘔吐・食欲不振といったマイナートラブルです。
妊娠5〜6週頃から発症し、妊娠12〜16週頃には自然治癒するものが多いです。
しかし中にはつわりの症状が悪化して、『妊娠悪阻』という診断がつくケースもあります(全体の1%未満)。

そこで本日は、多くの妊婦さんを悩ませているつわりの症状の解決策と留意点を紹介します。

つわりの症状



・吐き気・嘔吐
・食欲の低下
・食の好みの変化
・唾液量の増加
・全身のだるさ
・気分の変動 など

これらは空腹時に発症することが多く、症状が進行すると下記の症状が生じます。

脱水
・体重減少
・電解質バランスの異常
・心電図の異常
・筋力低下

更に最悪の場合は、頻回嘔吐による食堂の破裂や脳の障害、赤ちゃんの発育遅延といった非常に危険な状態へと進行する可能性もあります。

つわりの原因


つわりの発生機序は明らかでなく、様々な要因が複合的に組み合わさることによって発生すると考えられています。更に個人差が大きいことも特徴の1つです。

主な原因として考えられていることは下記の通りです。

胎盤の組織の一部から分泌されるホルモンの影響
・妊娠に伴うホルモンの影響で胃の機能低下が生じ、吐き気や嘔吐が誘発される
・精神的な不安やストレス

つわりの対処法

①つわりの時の食事


長時間の空腹感が、つわりの症状である吐き気や嘔吐を誘発する傾向にあります。
よって空腹を避けるために1回の食事量を少量にして、1日5〜6回に分割して摂取するのをおすすめします。
可能であれば夜中の空腹を避けるために、夜間3〜4時間毎に少量の間食をとったり、目覚めの朝一にすぐ軽食を摂取したりすることも有効です。

食事内容としては、ご自分の嗜好に合った食べやすいものが良いです。食欲のないときは、スープやシャーベット、ゼリーなどの冷たくて喉越しの良い物がおすすめです。食欲があって食事制限のない人は、胃の滞在時間が長い固形物(米や麺類)が良いでしょう。
一方で揚げ物や脂肪分の多い食事はつわり症状が悪化する人もいるため、ご自分に合う・合わないものを選別していきましょう。

また食べ物の匂いが吐き気や嘔吐を誘発する場合もあります。
つわりには周囲の配慮や協力が必要です。

②つわりの時の水分摂取


つわりの際には水分摂取を積極的に行ってください。
頻回に嘔吐を繰り返すことで脱水となり、電解質異常が生じる可能性があります。
しかし多量の水分を一気に摂取した反動で、逆に嘔吐につながる場合もあるため、その際には氷の欠片を口に含んで水分摂取すると良いでしょう。
氷を口の中で溶かすことにより、唾液の分泌量を抑える効果も期待できます。


③つわりと精神状態の関係


不安やストレスはつわりを助長させると言われています。
妊娠・出産に対する不安や家族間での問題、社会的背景や精神疾患の有無など、間接的に影響している要素はないか内省してみましょう。

④その他


・衣類の締め付けをゆるめる
・温服しすぎると吐き気が助長するため、少し涼しめの格好にする(体が冷えないように気をつけて下さい)
・漢方(つわりの治療漢方薬もあるので、医師と相談してください)
・薬物療法(安全性が確立されていないため、日本では薬の内服を積極的に行っていません。強い希望があるときは、医師に相談してみてください)


本当にこれはつわり?


つわりだと思って受診したら、全く違う疾患だったケースもあります。
たとえば、子宮外妊娠や卵巣の異常、胃腸炎や逆流性食道炎などの消化器の異常、糖尿病や甲状腺機能の異常など・・。
これらとの鑑別の為には、ご自身の自覚症状が重要な手がかりとなります。
吐き気や嘔吐の程度や期間、その他の症状の有無や既往歴など、ご自身の身体の状態を全体的に観察してみてください。


つわり症状が強いけど、どのような時に受診したら良いの?


症状が長期化している場合気になる症状がある場合は、外来受診をおすすめします。
例えば食事摂取や飲水ができなくて嘔吐が頻回に続いている時や、体重や尿量が減少してきている場合は病院に相談してください。

治療が必要と判断された場合は入院管理となり、点滴や食事管理が行われます。
更にバイタルサインや尿・血液の検査で全身状態の確認が行われます。
そして食事摂取状況や体重減少率、採血や検尿の結果などを総合的に判断し、症状が悪化するのを防ぎます。



つわりは精神的にも肉体的にもとても辛くて大変な症状ですが、つわりには必ず終わりがきます

妊娠に伴う一過性の症状だからです。


前向きに妊娠生活を楽しむためには、つわりと上手に付き合っていく必要があります。
今回ご紹介した上記のポイントはあくまでも一例です。
内容は参考程度に活用していただき、あとはご自身の体調に合わせて個別的に工夫していきましょう。


皆様の妊娠生活がより良いものになりますよう、応援しております。


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