妊娠線の予防とケア



妊娠線のことを気にされる妊婦さんによく出会います。

『妊娠線って消えますか?』
『妊娠線を目立たなくしたい』

今日は、そのような妊婦さんの疑問にお答えします。

まず妊娠線とは何でしょうか。


妊娠線とは妊娠20週頃から、下腹部・乳房・ふともも・おしりの皮膚に見られる放射線状に走る波状の線のことです。長さ5〜6cm、幅2〜5cmの数本または多数の線で、軽度に隆起しています。

初期の妊娠線は淡紅色〜紫紅色で、滑らかで光沢があります(新妊娠線)。出産後は次第に退色し、銀白色の瘢痕様の線となり目立たなくなります(旧妊娠線)。

この妊娠線は妊婦さんの90%に出現するといわれています。

子宮や乳房、皮下組織の増加にともない、皮膚が急速に伸展することが原因です。
表皮が伸展して薄くなり、皮下組織の一部が断裂することで、赤褐色の線(真皮乳頭血管)が見えるようになるのです。

これらは妊婦さんに生じる生理的な変化であるため、病的なことではありません。産後は目立たなくなりますが、それでも気になるひとか多いのが現実です。

【対策・予防】

まず痒みを伴う場合は、皮膚の乾燥が原因の可能性があるため、皮膚の保湿に努めましょう。
また急激な体重増加を避け、適度な運動をすると良いでしょう。
そして適度に腹部を支えるガードルや腹帯を着用することも、皮膚の伸展予防につながります。

実際によく使われているクリームとして、尿素軟膏やヘパリン含有軟膏、白色ワセリン等様々なタイプのものがあります。アレルギーの有無を確認後、ご自分の体質に合ったものを選んでください。
そしてクリームは、入浴後すぐに外用してください。乾燥する前に塗るのがポイントです。

皮膚が乾燥すると水分量の減少、弾力性の減弱が起こり、表皮のバリア機能が壊され、妊娠線が生じやすくなります。
よって保湿クリームで皮膚に潤いを与え、マッサージで皮膚の血行と伸展を良くするのが妊娠線予防に効果的です。

マッサージ方法は下記を参照してください。

(おなか)
下腹部から上へ、おへそから外側へ。
おへそ周囲は時計回りにマッサージする。

(ふともも・おしり)
下から上へ皮膚を持ち上げるようにもむ。心臓に向かって遠いところから近いほうへゆっくりすり込むようにマッサージする。

(乳房)
上部から首に向かって皮膚を引き上げるように、内側から外側へ円を描くように手のひら全体でクリームを浸透させる。

尚、過度のマッサージは子宮収縮につながるため、注意しながら実施してください。

妊娠線は決して病的なものではありません。美容上悩まれている方が多いですが、多くの妊婦さんにみられる生理的な皮膚の変化です。正常な皮膚の変化であることを忘れずに、過度の不安や心配を抱え込まずにお過ごしくださいね。



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