ターミナル


お盆やすみ。
いかがお過ごしですか。
今年から「山の日」という祝日が増えたことで、空港や新幹線は例年よりも早めに混雑したそうです。
出発客と到着客で混沌としているターミナルの様子は、この時期の風物詩でもあります。


さて、「ターミナル」という言葉を聞いて皆様は何をイメージしますか。

多くの方が「空港」をイメージされると思うのですが、「ターミナル期」という単語を想起される人も一部いらっしゃるのではないかと思います。

ターミナル期とは終末期のことで、近々死をむかえるであろう余命わずかの日々のことをいいます。

私が医療の道を志したのも、そんなターミナル期を過ごしていた身内の死(在宅での看取り)がきっかけでした。
人が亡くなる時の医療、すなわちターミナルケアに携わりたいという思いで急遽進路変更をし、学生時代は終末期医療に関する本を読み漁っていました。
その時に出会った本の著書が山梨で在宅ホスピス医をされていたので、学生時代に会いにいったことがあります。

彼女の名は、内藤いづみさん。
私が最も尊敬している女医で、在宅ホスピス医として山梨で活躍されています。

クリニックHP:http://www.naito-izumi.net

癌そのものの治療が困難となった時、人はどのような余生を過ごしたいと思うのか。
内藤先生曰く、多くの人が「家族」と過ごす時間を大切にしたいと考えるそうです。
そんな「家族」と「個人」を繋ぐ在宅緩和ケアをされている内藤先生が、「悔いなく死にゆくための三原則」というのをTBSラジオで話していたのが印象的でした。


1. 最期を過ごす場所を自分で選ぶ
2. 自分のやりたいことを大事にする
3. 恐怖や痛みや不安を我慢しない


これは、人が亡くなる時だけに限らず、人を生む時にも共通する三原則であると感じました。


1. 我が子を産む場所を自分で選ぶ
2. 自分のやりたいことを大事にする
3. 恐怖や痛みや不安を我慢しない


しかし、様々なことが原因で希望通りにいかないことが多々あります。
また、主語を「母親」ではなく「赤ちゃん」に変えると話は全く変わってきます。


1. 自分では選べない
2. 自分のやりたいことを自分ではできない
3. 恐怖や痛みや不安を我慢できない


このことは、コミュニケーションをとることが難しい末期ガンの人たちにも同様のことがいえます。

だからこそ家族のためには何が良いのか、当の本人はどうしたいのかという視点が、妊娠・出産・育児期そして終末期には必要です。


〜追記〜

本日、実家で可愛がっていた兎が、母に見守られながらこの世を去りました。
陣痛が突然はじまるように、死も同じく突然に訪れます。

ターミナルには「到着」であると共に「出発」という意味も含まれています。
ご縁あって私は現在、終末期医療ではなく周産期医療に携わっておりますが、根本的なところは同じであると日々感じております。
その日は突然訪れるのだから、悔いのないようにその日に向けた準備をしておかなければとつくづく思いました。

さて明後日は、出産準備教室を開催します。
「お産」というその日に向けて、赤ちゃんのために主体的な準備ができるようお手伝いできたら幸いです。



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