麻疹流行中!麻疹の予防接種について


以前、2児の母親である友人が口にしていた言葉が印象的でした。
「母親は我が子の体調管理(予防接種や受診)に一生懸命で、自分自身のことは2の次になりやすい。だから子育て中は、自分の体調が悪くても子どものことを優先するので受診率が下がる。」

たしかに産後数ヶ月は、自分のことより赤ちゃんの育児が優先されるため、自身の受診機会の確保が難しくなりがちです。
しかし母親が感染症を患ってしまった場合、我が子にウイルスをうつしてしまうこともありえます。
最近流行している「麻疹(はしか)」も、家族が感染源となって乳幼児にうつしてしまう可能性も否めません。

麻疹は沖縄・関西を中心に流行していますが、関東(東京・埼玉など)にも拡大しつつあるので、皆様のすぐ近くにも麻疹ウイルスが潜伏している可能性があります。

麻疹の感染力は非常に強く、咳やくしゃみ等で麻疹ウイルスが飛び散ります(空気感染・飛沫感染・接触感染)。
その感染力はインフルエンザの10〜20倍で、麻疹感染者とすれ違っただけで感染するといわれています。
麻疹の抗体がない方が麻疹ウイルス感染者と接触した場合、ほぼ100%感染してしまうので感染対策が必要です。

万が一乳幼児が麻疹に感染した場合、消化器症状(下痢、嘔吐)を伴い発疹や高熱が出現し、重症化しやすいです。

麻疹の抗体価が低い方は、麻疹ワクチン(もしくはMRワクチン)の摂取をして感染拡大を防ぎましょう。
特にワクチン不徹底世代(26〜39歳)は、通常2回接種すべき麻疹ワクチンを1回しか受けていないので、抗体が十分にない可能性が危惧されています。

麻疹の症状は以下の通りです。

1)症状のない潜伏期(7~18日)
2)カタル期(2~3日)
  38度以上の高熱、咳、鼻水、結膜充血、目やに
3)解熱
4)再度発熱(39~40度)し、発疹が生じる。

主な合併症は、気管支炎、肺炎、中耳炎、脳炎、亜急性硬化性全脳炎などです。
また麻疹罹患者の1000人に1~3人程度が亡くなるともいわれています。
(※妊婦の麻疹による死亡率はその6倍)

麻疹の感染予防を行うことは、大切なお子様、そして自分自身や家族を守ることに繋がります。
特に5〜8月は麻疹の流行期なので、体調管理にはくれぐれもご自愛ください。


〜追記〜

【風疹について】


麻疹に限らず、風疹の感染予防も家族の協力が不可欠です(特に妊娠中)。
昭和54年4月1日以前に生まれた人は風疹の予防接種を受けていない人が多いため、風疹の抗体を持っていない人が大勢います。
そのような方たちが感染源となり、妊婦さん(特に妊娠20週頃まで)が風疹に感染してしまった場合、赤ちゃんが「先天性風疹症候群」という病気を発症する場合があります。
(先天性風疹症候群:白内障、緑内障、先天性心疾患、難聴など)

風疹抗体価が陰性、もしくは低抗体価(HI法)が16以下の場合は、風疹ワクチンの接種が推奨されています。
妊婦さんは風疹ワクチンの接種ができないので、周囲の家族や職場の協力が必要です。
(※産後であれば、授乳中でも風疹ワクチンの接種が可能ですが、ワクチン接種後2ヶ月間は避妊をしてください。)

ご自身に風疹抗体があるのか不明な方は感染対策を行い、妊婦さんにウイルスが曝されないようにすることが重要です。
身の回りの妊婦さん、そしてこれから生まれくる子どもたちを守るためにできることのひとつです。

港助産院
http://www.minato-josan.jp
城野

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