なぜ妊婦さんにやさしくあるべきなのか考えた。

理解力は想像力。

実際に妊娠してみないと分からないことは沢山あります。
妊娠して「周りの目が優しくなった。親切にしてくれる人がいた。」と実感した人がいる一方で、マタニティマーク問題やマタハラ問題も指摘されています。




なぜ妊娠すると情緒不安定でイライラしたり涙もろくなったりするのか。

ホルモンの影響です。ママのホルモンが変動するのは、全て赤ちゃんの成長の為に必要だからです。
生理中の女性ホルモンの変動幅がマンション20階建てだとしたら、出産直前にはエベレストくらいまで上昇します。妊婦はガラスのハートだと思って接してください。


当たり前の日常生活がどうしてこんなに大変なのか。

お腹に5kgのスイカを抱えて生活してみてください。ただ横になって寝ることも大変だということが分かるでしょう。大きくなったお腹をかばう為に、腰への負担もかかります。
更に今よりも体重が10kg増えた自分を想像してみてください。ちょっとした動作で息切れや動悸がおこりやすくなります。


なぜ妊婦は疲れやすくて日中に眠気を催すのか。

お腹の赤ちゃんに酸素や鉄分を供給しないといけないので疲れやすくなります。
はじめは0.1mmほどだった大きさの赤ちゃんが50cmまで成長し、体重も1gから3000gまで増えます。そのサポートのために、ママは毎日24時間年中無休で必要な栄養や酸素、血糖などを赤ちゃんにおくりつづけています(無意識下)。それが途絶えたら、赤ちゃんの心拍数は止まってしまいます。
妊婦さんが疲れやすくて、休憩が必要になるのも当然です。


なぜ妊婦さんに優しくあるべきなのか。

ただでさえホルモンの影響でこころが不安定になりやすい時期にストレスを抱えたらどうなるのでしょうか。
ストレスは、妊娠中のマイナートラブルである「つわり」「胸焼け」「逆流性食道炎」などの増悪因子でもあるため、これらの症状が悪化します。
更に、ストレスによる交感神経の影響で、血管が収縮して血流が悪くなります。長期的にストレスが持続することで、赤ちゃんに送られる血流(酸素や栄養素)の流れにも悪影響を及ぼしかねません。
また妊娠中の女性に重度の心的ストレスが発症した場合、子どもが統合失調症(精神疾患)になる確率が高くなることも示唆されています(by Ali S.Khashan)。


妊婦さんにやさしい国とは?

妊婦であることに誇りをもてる妊婦さんが多い国のことだと思います。
「マタニティマーク」とGoogle検索すると、「危険」「つけない」「嫌がらせ」という検索ワードが上位表示されます。
日本は今、少子高齢化という大きな国家問題を抱えていますが、日本の妊婦さんが0人になってしまったら日本の将来はどうなるのか・・その恐ろしさは容易に想像できますよね。
お腹の中の赤ちゃんは、日本の未来を担う貴重なヒーローでもあります。
そしてそんなヒーローを出産するのは命がけです。極端ですが死というリスクも伴います。
だから妊婦さんは、本来ならとても大切に扱われて当然だと思うのです。


そもそも自分たちも胎児だった

当たり前ですが、私たちがいまここに存在している理由は、母親が妊娠してくれたからです。
竹や桃をきったらでてきたわけではありません。
自分の親も妊婦だったという当たり前のことを多くの人が忘れています。
そもそも親が自分を妊娠していた時の「妊婦の姿」を見たことがないのだから、仕方のないことなのかもしれません。
私たちが母親の胎内にいた頃は、100%母親に委ねて依存した状態で生きていました。
そんな母親が自分の知らないところ(外の世界)で、妊婦であるが故に傷つく体験をしていたらとても悲しいですよね。
胎児も母親も何も悪いことをしていないのに。


妊娠する確率

先ほど、母親が妊娠していたことを「当たり前」と表現しましたが、そもそも妊娠すること自体が当たり前のことではありません。
受精するまでの道のりや確率を考えると、俗に言う「奇跡的」という表現がしっくりくるような気もします。
更に受精後の280日間という一定の妊娠期間があるからこそ、人は自らの力で産声をあげることができます。

これから生まれてくる全国のママたちの赤ちゃんが、どうか元気なうぶ声を聞かせてくれますように。
そのために周りの人間ができることは、街中ですれ違う妊婦さん1人1人が安心して妊娠期を過ごせるようにサポートすることだけです。


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