(私事)母乳の勉強会
母乳育児に関する情報は多岐に渡り、ネット上には様々な情報が錯綜しています。
医学的根拠がないのにも関わらず、さも当然であるかのように言い伝えられている情報が未だに沢山残っています。
インターネットで検索上位に表示されるから、信憑性が高い情報とは限りません。
母乳育児に関する書籍や雑誌の情報も、必ずしも正しいとは限りません。
また病院で得た医療者からの情報も、必ず正解とは限らないのです。
例えば・・
「脂肪分が多くて高カロリーの食べ物は、おっぱいを詰まらせる」「スパイスなどの刺激物は母乳の味が変わるので避けたほうが良い」
「マッサージは痛いけれど、我慢してする必要がある」
「ミルクは太りやすい」
「極力早く卒乳させたほうが良い」
「冷たい乳汁とあたたかい乳汁がある」
「妊娠中にマッサージをしてなかったから、産後も分泌が悪い」
上記の情報はよく聞く内容であり、数年前には「常識」として蔓延していたことでした。しかし近年、これらの情報には医学的根拠がないことが判明されました。
(もしかしたら数年後に新たな研究データや論文で、上記の内容が正しいというエビデンスが証明される可能性もあります。)
つまり母乳育児に関して浸透している情報の中には、医学・科学的に証明できないことが多く含まれているのです。
母乳は個人差が大きく、様々な因子が複雑に絡み合って分泌されるため、説明し得る可能な分岐が沢山あって当然です。
故に「確実にこれが正しい」「これが絶対間違っている」とは断言できない状況がでてくるのも自然なことです。
ご本人様の意向やニーズを加味したら、尚更強要はできません。
私自身も助産師になりたての頃は、机上で学んだ通りに食事やマッサージの指導を行っていましたが、今振り返ると反省すべき点が多々あります。
新人の頃、良かれと思って自分の意見をおしつけてしまったことにより、プレッシャーを与えてしまったこともありました。
だからこそ「自分のケアや発言は本当にこれで良かったのだろうか」という振り返りを必ず行っています。自分の知識や手技を信じて100%の自信をもっている助産師がいたら、正直「あやしい」と私は思っています。
なぜなら時代とともに研究は進み、新たなエビデンスが確立されていくので、現時点で「正しい」と言われていることが、数年後には覆される可能性があるからです。
そしてあくまでも主役はお母さんと赤ちゃんなので、医療者が一方的に母乳育児の方針を決めつけるのは良くないと思っています。
助産師はやみくもに強要・強制をしてはならないのです。
本日休診日は、母乳育児支援に関する勉強会に参加したのですが、「5〜10年単位で情報や母乳ケア内容が大きく変わっている」という変化を改めて実感しました。
祖父母世代と現代の親世代では、母乳育児の考え方や支援内容に差異が生じるのも仕方ありません。同様に助産師の価値観や指導内容も人によって様々であり、助言が矛盾している場合があります。
その結果、母乳育児に戸惑いを抱いてしまうお母さんがいるのも事実です。
母乳育児支援をする医療者は、常に新しい情報を入手し続けていく柔軟性が必要です。そして情報の出典を確認し、科学的根拠に基づいた情報であるか判断する力を養い続けていくことが大切です。
初心を思い出した母乳育児の勉強会でした。
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