妊婦さんは温泉に入っても良いの?


火山大国である日本は豊かな温泉資源に恵まれており、古くから多くの日本人に愛されてきた名湯が全国各地に点在しています。

温泉の歴史は古く、ヨーロッパでは紀元前にまで遡ると言われています。
そういえば、映画「テルマエロマエ」でも古代ローマ人の入浴シーンがありましたね。
温泉文化は歴史を紡いで、長らく親しまれてきたのです。

斯く言う私も大の温泉好きで、21歳の頃に1人で九州温泉めぐりをしたことがあります。
今でも旅先では必ず「温泉」を検索しますし、全国各地の名湯に浸かりたいという願望があります。




東京都内には温泉施設が少ないため、代わりに足繁く銭湯に通っております。
(※ちなみに私と同じく銭湯好きの人には、東京都浴場組合が発行している「銭湯お遍路マップ」のスタンプ集めがおすすめです。→「東京銭湯お遍路」については、東京都浴場組合のホームページをご覧ください。)


おそらく私のように温泉・銭湯好きの妊婦さんも世の中には沢山いらっしゃると思います。
中には、銭湯お遍路の認定証を持っている妊婦さんもいるのではないでしょうか。

そこで本日は・・(前置きが長くなりましたが)
妊婦さんが温泉に行く際の留意点についてお伝えします。



妊婦さんが温泉に行ってもいいの?


入浴により、母体の心拍数の増加、新陳代謝の亢進、血圧の軽度の低下、脱ストレス効果があります。
しかし「妊娠初期や後期の妊婦さんの温泉は禁忌」といった貼り紙を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
これは、1982年に定められた温泉法の規定に基づく掲示内容だったのですが、温泉が妊婦さんや胎児に良くないという医学的根拠がないことが日本温泉気候物理医学会によって判明されました。それを受けて2014年には環境省により温泉法が改正され、温泉入浴を避けるべき項目の人の中から「妊婦」が削除されました。
周産期医学(32号巻)でも「温泉浴が妊婦に及ぼす影響については不明であるが、家庭の入浴との間に顕著な差はない」と表記されています。更に、「入浴により軽度の子宮収縮を起こすことはあるが、陣痛を誘発させることはない」と追記されています。

つまり妊娠経過が正常で、切迫流・早産の症状がない妊娠中期であれば、温泉に行っても問題がないといえます。

しかし遠方や高地、海外や僻地への温泉旅行はリスクを伴うので、必ず産科医に相談しましょう。
(詳細は、「妊娠中の旅行(妊婦は遠出・旅行をしていいの?)」をご覧ください。)

また非妊時と比べて、妊娠中は貧血や脱水を起こしやすく、立ちくらみや転倒、気分不快を起こしやすいため注意が必要です。
以下に、妊婦さんが温泉に浸かる際の注意点をまとめます。

妊婦さんが温泉で気をつけること


・極力、単独では入らない(転倒・気分不良時の対応が遅れる)
・高温、低温は避ける(40〜41℃の適温)
・長湯は避ける(10分浸かったら休憩)
・1日2回まで(頻回の入浴は疲労や湯あたりを起こす)
・飲酒直後や冬期の露天風呂は好ましくない
・強い硫黄泉への旅行は避ける(湯舟で気を失うリスク)
・刺激の少ない弱アルカリ性の「単純温泉」が望ましい
・妊娠初期のサウナ浴や暑い時は無理しない(母体が高体温になると、胎児が神経管欠損症になる可能性があるという報告がある)
・脱衣所や座椅子、共有タオルの使用は極力控える(ヘルペス感染の予防)


以上です。
安全で快適な状態で、温泉を楽しめたら良いですね。



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