妊婦と貧血の関係
妊娠すると貧血になりやすく、重度の貧血は母子共に悪影響を及ぼします。
そもそもなぜ妊婦さんは貧血になりやすいのでしょうか。
【貧血の原因】
- 胎盤への血液循環増加→鉄の消費
- 赤ちゃんへの酸素・栄養分の輸送促進→鉄の消費
- つわりによる食事摂取量の低下→鉄の摂取不足
- ホルモンの影響で体内に水分を貯めやすくなる→鉄の割合が減る
つまり妊娠に伴う貧血は生理的な現象であり、全妊婦の20%に発症します。
妊婦健診時の採血では必ず貧血の値を確認しているため、妊婦さんはご自身の採血データを確認してみてください。
貧血の診断基準は非妊時と異なり、Hb(ヘモグロビン):11mg/dl以下 Ht(ヘマトクリット):33%未満です。Hb:6.0mg/dl以下では、子宮内胎児発育不全・胎児死亡・早産等のリスクが上昇します。
貧血は自覚症状が出にくいと言われていますが、以下の症状がでたら要注意です。
《めまい、息切れ、動機、冷え、疲れやすい、頭痛、肩こり、立ちくらみ、食欲不振、集中力低下、耳鳴り、顔面蒼白、爪の蒼白》
これらの症状が悪化することで、①生活リズムの崩れ ②お産が長引く ③胎児仮死 ④出産時の出血過多 ⑤産後の回復の遅れ ⑥育児疲れ につながります。
よって日頃から貧血を予防するための工夫をしておきましょう。
【食生活】
- 鉄分の多い食品を摂取
- タンパク質を十分に摂取
- 鉄の吸収を高めるビタミンB6・B12・C、葉酸、胴の摂取
- 鉄強化食品を利用
- 鉄製の調理器具を使う
- 濃いめのお茶は控える(タンニンが鉄の吸収を妨げる)
〈鉄の吸収をよくする食材について〉
- 肉類、魚類:吸収率のよいヘム鉄が含まれ、良質のたんぱく質も含む
- 穀類、いも類、大豆、卵、貝、海草、野菜:ヘム鉄と比べると吸収率が落ちる非ヘム鉄が大半を占める。よってこれらを摂取する際には、ビタミンCを一緒にとると、鉄吸収を促す
- ビタミンCや動物性たんぱく質:鉄の吸収率を上げる
- ビタミンB6、ビタミンB12、胴、葉酸:造血作用がある
【鉄剤】
貧血の妊婦さんは、病院で鉄剤を処方されると思います。副作用として、胃腸障害や便秘、便が黒くなる傾向があります。加えて蕁麻疹、痒み等の過敏症状が現れることもあるため、気になる場合は医師と相談してください。
また鉄剤と下剤を併服されている方は、お互いの効能を減らす作用をもたらす可能性もあるため、服用間隔には気をつけてください。
【鉄のサプリ】
サプリメントを使用する前に、まずはバランスのよい食事が摂れてるか見直してみましょう。サプリメントは摂れば摂るほどよいというものではありません。
【貧血症状の対処】
- 頭痛→貧血による酸素不足で、二酸化炭素が蓄積することにより起こります。よって、血液循環を促すように、保温やマッサージ、足浴やぬるめのお風呂に入ると効果的です。
- 疲労→貧血の人は疲労感を強くもつ傾向にあるため、十分な睡眠時間をとりましょう。
- 動機・息切れ→貧血の場合、動作時に酸素の運搬機能が低下しているため、過度な循環機能の亢進が起こります。そのため体に大きな負担がかかって動機や息切れが生じます。途中で深呼吸や休息をとりながら、身体に負担のかからない動作を心がけましょう。
具体的な食事内容に関しては、次回(貧血予防のレシピ)でお伝えします。
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