出産後のカンガルーケアとは?(カンガルーケアのメリットとデメリット)
カンガルーケアという言葉をご存知でしょうか。
出産後に生まれたての赤ちゃんを胸の上に乗せ、直接肌と肌を触れ合わせながら向かい合わせに抱く行為のことです。赤ちゃんがこの世に生まれてきてから、初めてお母さんと触れ合うことができる貴重な瞬間ですね。
この母子が密接に寄り添っている姿が、カンガルーの親子の姿と重なることから、カンガルーケアとよばれるようになりました。
カンガルーケアの発端は今から約36年前。コロンビアのボゴダで低出生体重児の保育器不足に対して考察されたのが始まりです。その後、日本に普及し始めたのは1993年以降。母子の早期接触が母子関係・母乳栄養確立によいことから、WHO/UNICEFの「母乳育児を成功させるための10カ条」でも推奨されるようになりました。
そもそもカンガルーケアのメリットとは何でしょうか。
- 呼吸・体温・心拍数が安定する
- 児の血糖や酸素が保たれる
- 母の皮膚の常在菌が児へ移行し、免疫力が高まる
- 母子が密着することで、お互いの安心感・親密感が育む
- 児がおっぱいを吸いはじめる(早期初回授乳)
- 子育ての原動力が生み出される など
このように、カンガルーケアには「保温・母乳栄養・感染予防・心の安定」といったメリットが沢山あります。
しかし、カンガルーケアが必ずしも良い結果になるとは限りません。
デメリットについても知っておきましょう。
例えば、出生直後で状態が安定していない児の場合、カンガルーケアをしている間に容態が急変してしまう可能性があります。その際の発見・処置の遅れから、児の健康状態に悪影響を及ぼしてしまうケースがあるのも事実です。
また児の体勢や保温などに気遣った適切なカンガルーケアができていないと、思わぬ事故につながってしまいます。実際に、このようなトラブルが生じるのを防ぐために、カンガルーケアを実施していない医療施設もあります。
したがってカンガルーケアを実施する際には、必ず赤ちゃんから目を離さず、全身状態を観察し続けることが大切です。またカンガルーケアができる状態なのかというアセスメントも必要になってきます。
その観察・判断が何らかの理由で医療者にできなかった場合、赤ちゃんのことを守れるのはお母さん、そして側にいるご家族です。
カンガルーケアをする際には、何に気をつけて、何を観察すれば良いのか。
そもそもカンガルーケアができる状態なのか。
医療者だけではなく、ご本人さんと周りのご家族にも知っておいてもらいたいことです。
カンガルーケアができないからといって、母子関係が形成されないわけではありません。
赤ちゃん、そしてお母さんの健康状態が安定していることが何よりも重要なのです。
そのうえでカンガルーケアができた際には、ぜひ安全で安心なカンガルーケアをしたいですね。
カンガルーケアについて一緒に考えていきましょう。
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