フリースタイル出産とは



今日は、産む時の姿勢についてお話します。

まず「出産シーン」をイメージしてみてください。

おそらく、多くの方が”産婦さんが仰向けで寝転び、足を開脚したまま産んでいる姿”を想像するのではないでしょうか。
これは「仰臥位分娩」というのですが、多くの病院で主流となっている分娩スタイルです。
ではなぜこの体勢なのでしょうか。


①異常時にすぐ処置ができる
②医療者が見やすい
③医療者が介助しやすい
④吸引分娩や麻酔などの産科的処置がしやすい
⑤赤ちゃんの心拍数モニターがつけやすい など

これらのことから、医療者側にとって非常に優位な体勢であることがわかります。
しかし産婦さん側にとって優位な体勢とは、どのような体勢なのでしょうか。

その答えは、「1人1人違う」です。

立位・座位・横向き・膝をつけて座る・片足だけあげる姿勢・あぐら・スクワットなど。

産む姿勢(フリースタイル)は多岐に渡ります。
それぞれにメリットとデメリットがあり、陣痛の強弱や、赤ちゃんの健康状態、お産の時間などを左右する影響力が「姿勢」にはあるのです。

たかが姿勢、されど姿勢です。
姿勢を母子の状態に応じて変えるだけで、以下のように変化するケースがよくあります。

①赤ちゃんに苦しいサイン(心拍数の低下)がみられたが、姿勢を変えたら元気(心拍数の改善)になった
②赤ちゃんがなかなか下がってこなかったけれど、姿勢を変えたら急にお産が進んだ
③うまくいきめなかったけれど、姿勢を変えたらいきみやすくなった
④姿勢を工夫したら、陣痛・腰痛の痛みが軽減した

このように、出産時の体勢について知っておくことはとても大切です。
それはご自身が主体的に産む力を育むことにもつながります。

アクティブバースという言葉をご存知でしょうか。
近年の出産における妊婦さんの意識は、主体的思考が強くなっているといわれています。
自分で産む」という意識を大切に、自分で考えながら動いていくことは、お産の満足度にも大きな影響を与えます。

これを機に、お産のときの体勢についてもイメージしてみてください。
医療機関によってフリースタイル分娩を取り入れていない場合があります。大半の医療施設が取り入れていませんが、それが決して悪いわけではありません。むしろ安全面では安心できる場合もあるので、施設のやり方や医療者のアドバイスを受け入れることも大切です。
しかし、分娩室に移動するまでの間は比較的自由に過ごせる時間があるはずです。
分娩室に移動するまでの間、ただ何もせずにベッドで横たわって陣痛に耐えるだけでいいのでしょうか。
メリットとデメリットをふまえて様々な分娩経過の過ごし方があることを知ることは、主体的に産むことにつながるはずです。
満足な出産体験ができるよう、産婦さん主体のお産にしていく力を一緒に身につけていきましょう。
お産の時にどのように過ごすのか、主体的なお産について再考してみませんか。

港助産院 城野

東京マタニティスクール