出産のときにつけるモニターについて
胎児心拍陣痛図モニター
妊婦健診や出産の時、妊婦さんは必ずお腹にモニターをつけなくてはいけません。
このモニターを胎児心拍陣痛図(CTG)というのですが、『これは何ですか?』と聞かれることが多い為、今日はCTGについて簡単にお話しします。
その名の通り、CTGとは『お腹の中にいる赤ちゃんの心拍数と、お母さんの陣痛の状態を記録する機械』のことです。お産のときには必ずついています。
まずモニターには、赤ちゃんの1分間の心拍数が表示されます。
平均心拍数は110〜160回/分で、この基準値を上回る、もしくは下回る時は何かしらの危険なサインを意味します。
大人も心身にストレスがかかった時は脈拍数が変動しますよね?赤ちゃんにも同様のことがおこります。
ではどのような時に、赤ちゃんの心拍数が変動するのでしょうか。
原因として、下記のことが考えられます。
①赤ちゃんが狭い骨盤内を下がってくる際に頭が圧迫され、酸欠状態となる
②酸素を届けてくれるへその緒に問題が生じている(へその緒が身体に巻き付いてる・へその緒が圧迫されてる)
③お母さんの呼吸状態が不良
④赤ちゃん自身の健康状態に何かしらの問題がある(陣痛に耐えられない状況)
⑤胎盤が先にはがれてしまう など
つまり、酸素が赤ちゃんに届くのが遮断されている状態です。
生きる為に必須である酸素が各臓器に届かないことで、長時間の低酸素状態が持続してしまいます。そのことにより脳性麻痺や胎児仮死になり得る恐れもあります(重症の場合)。
よって医療者は、このCTGのデータから目を離すことができません。
何故赤ちゃんの心拍数が下がっているのか。この状態はまだ大丈夫なのか、それとも緊急で帝王切開が必要なのか等の分娩方針の鍵を握っているのがCTGなのです。
この判断材料となるCTGについて、お母さん本人と家族の人が少しでも理解しているだけで、医療者の動きが何となく理解できるようになります。
そしてこのCTGでは、お母さんの陣痛の状況も把握できます。
・何分間隔でお腹が張っているのか
・陣痛が何秒間持続しているのか
・陣痛と赤ちゃんの心拍数の関連性 など
これらはお産の進行状況を予測するうえで重要な情報となります。
以上がCTGの大まかな観察項目となります。
赤ちゃんとお母さんの健康状態を把握し、異常時にはすぐに緊急対応ができるように発明されたとても優れたモニターです。
CTGを使う度に、医療の進歩について考えさせられます。そして同時に、医療だけに頼らず、五感を用いた自身の観察・判断力を高めていく必要性も感じます。