子どもの知的好奇心を育む関わり

今日で5月も終わりです。
つい数ヶ月までは蕾だった木々にも青葉若葉が生い茂り、青々とした生気がみなぎっています。
四季の巡りと共に、当院でも多くの出会いに巡り合いました。

先日、約110日間毎日お呼びいただいたお客様から素敵なプレゼントをいただきました。


絵のタイトルは「grow」。


Growとは、「育つ」「育み」「成長」「大きくなる」という意味があり、まさに子育て中の方や赤ちゃんに関係する生命力のある単語です。
私の好きな言葉に「We don't stop playing because we grow old; we grow old because we stop playing.」という一文があります。
これはバーナード・ショー氏の言葉で、「年を とったから遊ばなくなるのではない。遊ばなくなるから年をとるのだ。」という意味です。
ここでいう「遊び」を、私は「挑戦」や「好きなこと」と解釈しているのですが、これらの行動原動力は「好奇心」です。
当たり前の話ですが、物事を探求しようとする根源となる感情(好奇心)があるからこそ、人は知的活動を行えます。

子どもはまさに、好奇心の塊です。
2〜5歳の子どもは、「なんで?」「どうして?」という類の質問を4万回するそうです(質問期)。

イアンレズリー著の「子どもは40000回質問する(光文社)」という本には、「好奇心格差」が「経済格差」を生むと指摘されています。
レズリー氏は、好奇心格差は幼少期の環境に由来し、将来的な成功や健康にも影響を及ぼすと述べています。
そして乳幼児の学習は大人や環境との合弁事業であり、知識こそが好奇心を育てる土壌であると主張しています。


わたしは街中でみかける親子の会話を盗み聞きして分析するという悪趣味があるのですが・・、子どもの「なぜなぜ攻撃」に対する親の反応は主に5パターンに分類できます。

1)無視
2)(公共の場なので)静かにしなさいと注意する
3)答えをストレートに教える
4)一緒に考える
5)「なんでだと思う?」と考えさせる

言うまでもなく子どもの知的好奇心を刺激する対応は、(4)(5)です。
沢山質問する子どもほど、親が子どもに沢山質問をしているという調査結果があります。

自分の発した質問に対して親が「一緒に考えたり質問を広げたりしてくれる」ことで、子の「もっと知りたい」という好奇心は育まれていきます。
また「東大脳の育て方(主婦の友社)」の調査結果では、詰め込み知識だけではなく実体験(熱中体験)の積み重ねが重要であると述べられています。

例1)子どもが絵本で電車に興味を持ったら、実際に本物の電車を見せに行く。
例2)蝶の写真に興味を持ったら、森に行って本物の蝶を探す。

そしてなによりも、親自身が子どもと一緒に人生を楽しむ経験が大切であると瀧教授(東北大学加齢医学研究所)は解説しています。
子どもは親の真似をするので、親が楽しんでいることには興味を抱きます。
だから親にとっては全く興味のない場所や体験であったとしても、子どもが熱中していることに対して「一緒に興味をもつ」ことは、我が子の好奇心の芽を育むことに繋がるのですね。


冒頭で「grow」という単語の話をしましたが、ここ最近は久しぶりに再会する赤ちゃんが多いため「成長しましたね。」という言葉を毎日のように発しています。
「大きくなりましたね。」「成長しましたね。」という言葉は決まり台詞のようなイメージがありますが、私はいつも尊敬の念を込めて口にしています。

「お子様大きくなりましたね!(=ここまで大きく成長できたのはご両親のおかげですね。大変なことも沢山あったと思いますが、本当によく頑張られましたね。立派です。尊敬します。)」と、口には出さずとも感銘しています。
皆様が新生児期に抱えていた悩みや努力を知っているからこそ、畏敬の念を抱きます。

またここ最近、新生児期から継続的にお世話になっていたお客様たちが、断乳や里帰り終了等の理由で港助産院を卒業されました。
もうしばらく会えなくなると思うと寂しいですが、離れていても皆様のことを陰ながら応援し続けています。
あるお客様から「私達親子にとって、城野さんは本当に港でした。」という言葉が綴られている手紙を頂戴しました(泣きました)
これから先、またお困りのことや気になることがでてきたらいつでもお声がけくださいね。
皆様にとっての港であり続けたいと思っています。

これから先の長い人生、皆様のお子様が何に興味を示し、熱中し、成長していくのか・・個人的にもとても興味があります。
お子様にとっては、はじめて見るもの・聴く音・嗅ぐもの・食べるもの・・全てが探求の原動力になる好奇心です。

音楽、色彩、香り、手触り・・、あらゆる感覚を刺激した遊び(実体験)を通して、五感が磨かれていくことを願っております。
そして好奇心の芽がすくすくと育まれていきますように。


五感
The senses

*視覚*
sight


*聴覚*
hearing


*嗅覚*
smell


*味覚*
taste


*触覚*
touch





子どもは常に刺激を求めており、「五感で確認したい」という欲求にあふれています。
植物も根や茎で刺激を感じ取って葉先が伸びるように、環境刺激なくして育ちません。

人にとっての環境刺激の一つは、五感を育むリアルな体験の積み重ねです。
皆様のお子様の根幹が太く丈夫に育っていきますように。



港助産院 城野
http://www.minato-josan.jp

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