【メンタル②】怒りを客観視して感情の癖を知る


産後はイライラしやすく、夫婦間での衝突が増える時期です。
また育児中はお子様との関わりにストレスを感じる場面も少なくありません。
そのような時、怒りを無理に我慢すればストレスがたまりますし、感情のままに怒りを表出すれば自他を傷つけてしまいます。
怒りで後悔しないためにも、自分のストレスの実態を知り、行動法を学ぶことで自分なりにストレスと向き合っていくことができます。

前回は、怒っている相手に対する接し方(相手の怒りの捉え方)をお伝えしました。
▶︎【メンタル①】イライラの原因と怒っている相手への対応

では怒っている当の本人はどのように怒りと向き合えば良いのでしょうか。
前回に引き続き、怒りとの向き合い方について考えていきたいと思います。


1. 怒りの自己分析(客観視)

まずは自分がどのような時に怒りの感情が湧きがちなのかを、客観的に振り返ってみましょう。

WHO(誰に対して):自分?夫?子?義母?
WHEN(いつ):退院後?産後何日頃?
WHERE(どこで):密室?外?
WHAT(何に対して):行動?態度?報連相?
WHY(何故):期待の裏切り?価値観の相違?
HOW(怒りの表現方法):他責?自責?自傷?

このように怒りが出現する背景を客観的に分析しながら、自分の怒りポイントを把握していきます。
この作業は感情的な時ではなく、情緒が安定している冷静な時に行うと良いでしょう。

おそらく怒りの対象に対して、「こうあるべき」という価値観・考え方を抱いているはずです。
そして更に、この「べき」が何故「べき」になっているのか、影響を受けたと思われる過去の経験を自分がどのように解釈しているのか内省します。

過去の出来事を再体験する時は、主観的になりやすく、まるで現在進行形のように錯覚しがちです(客観性を失う)。
その結果、このような手段は時にトラウマが強化されて逆効果になる場合もあるので、客観的な思い出し方を習慣にすると良いでしょう。

例)「どうして〜なのだろう」と解釈しがちだが、自分が本当はどうなりたいのかという点に焦点を合わせて「どのようにして〜しよう?」と考える

過去は過去で変えられない出来事です。
過去の執着を手放して許せない限り、今この瞬間の解釈の仕方や感情を変えることは難しいです。
しかし過去の執着を手放せなくても、今この瞬間の捉え方(内なる意味づけ)を意図的にコントロールしていくことは可能です。

ただし自分の怒りや悲しみのステージによっては、過去の出来事を客観視したり、手放して許したりすることはできません。
私はいつも強いストレスを受けた時、自分が危機モデルのどの段階にいるのか客観視したうえで感情や行動を受け入れるようにしています。

《危機モデルの例:フィンク》
第一段階:衝撃(ショック、不安)
第二段階:防衛的退行(逃避や怒り)
第三段階:承認(事実を悟る、焦燥感)
第四段階:適応(価値観の構築)

他にも著名な心理学者や精神科医の危機モデルは色々あるので、気になる方は調べてみてください。
危機モデルは強い怒りや深い悲しみが癒えていく過程で活用できるので、医療系の友人と失恋話をする際にはよく引用しあっています。
「原因が何か」ではなく「今ここで何が起きているのか」という解決志向に着目できます。

2. 怒り方の癖を知る

怒っている時は感情的になりがちなので、怒っている自分を客観視できません。
例えば私の場合は、怒りの感情を抱きにくく、表出できない傾向にあります。
しかし他人からすると「分かりやすい」らしく、無意識に表情や態度に表れているようです(すみません)

怒り方(表現方法)の癖は人それぞれ異なりますが、ご自身はどのようなタイプですか?

・カッとすぐにヒステリーになりやすい
・モノや人にあたる(暴力・破壊)
・自傷行為をする
・無言でためこみがち
・自分を責めてしまう
・全て他人のせいにしてしまう

これらの強度が強ければ、自他共に傷ついて後々後悔しかねません。
しかし怒る必要のあることは上手に怒り、怒る必要のないことは怒らないようにしていくことで怒りによる後悔を減らしていくことはできます。
具体的な怒りのコントロール方法は次回のブログで紹介致します。

▶︎【心の整え方③】イライラ(怒り)のコンロール方法

* *  *

人の心は脆くて弱いです。
しかも感情は日々刻々と変化しています。
そんな自己の感情(特にネガティブな感情)に向き合う作業は時に苦痛を伴いますが、その感情は決して"悪いこと"ではありません。
自分がどのような状況下でストレスを感じ、逆にどのような認知・行動・環境なら平穏になれるのか、客観的に考えながら実践していくことで自分の意外な一面が見えてくるかもしれません。

また「べきだ論(価値観)」に固執しすぎてしまうと、それが達成できなかった時に崩れてしまう恐れがあります。
特に育児中は良い母親になろうと頑張ろうとして、それが自分自身をがんじがらめに縛っている場合もあります。
疲れたな、イライラするな、我が子にあたってしまう・・等のサインがみられたら、自らつくりあげている「べき(ルールや束縛)」から解放してあげてみるのはいかがでしょうか。

蒸し暑い日々が続いておりますが、どうかお体を大切になさってください。

▶︎【メンタル①】イライラの原因と怒っている相手への対応
▶︎【メンタル③】怒りのコンロール方法と伝え方


港助産院 城野
http://www.minato-josan.jp

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